kintone承認フローのプラグイン比較【2026年版】|一括承認・代理承認・承認後の編集ロック

kintone承認フローのプラグイン比較【2026年版】 一括承認・代理承認・承認後の編集ロック

本記事は、kintoneプラグイン開発とカスタマイズ支援の実務経験を持つ筆者が、実際のkintone環境に稟議申請アプリを作り、承認フローを動かしながら確かめた挙動をもとに整理したものです。他社製品は各社の公開情報を参照しています(確認日:2026年8月23日)。

kintoneのプロセス管理で承認フローは組めます。ところが運用に入ると、決まって同じところで詰まります。月末に承認待ちが30件たまる、承認者が出張中で誰も進められない、承認後に金額を直されていた——。この記事で分かることは次のとおりです。

  • kintone標準の承認フローでできること・できないこと(実機の画面とエラー文つき)
  • 承認が詰まる場所ごとの解決アプローチ3つ
  • 他社プラグイン3製品と当社製品の比較表と選び方
  • 一括承認を入れる前に知っておくべき落とし穴

プロセス管理そのものの設定手順はkintoneプロセス管理の使い方ガイドにまとめてあります。この記事は「標準で足りないところをどう埋めるか」に絞ります。


まず、標準のプロセス管理でここまでできる

検証用に「稟議申請」アプリを作り、4段階の承認フローを組みました。下書き → 課長承認待ち → 部長承認待ち → 完了。金額が10万円以上のときだけ部長承認を挟み、各段階から差し戻せる形です。

kintoneのプロセス管理の設定画面。下書き・課長承認待ち・部長承認待ち・完了の4ステータスとフロー図、各ステータスの作業者設定、アクションが実行できる条件として金額の比較が並んでいる

設定はこの1画面で完結します。ノーコードでここまで組めるのは十分に強力です。

やりたいこと標準でできるか
多段階の承認(申請→課長→部長→完了)できる
承認者を人・組織・グループで指定できる
金額や区分で承認経路を分ける(条件分岐)できる
差し戻しできる
承認待ちを自分の一覧に出すできる(「作業者が自分」の一覧が自動生成される)
承認後の編集を止めるできる(レコードのアクセス権の条件にステータスを指定)

最後の行は補足が必要です。「承認後に書き換えられてしまう」という相談をよく受けますが、これは標準機能で塞げます。レコードのアクセス権で条件に ステータス in ("完了") を指定し、その条件のときは編集不可にすればよい。実機でもこの設定が通ることを確認しました。プラグインが要るのは「ロック中だと画面で分かるようにしたい」「条件が複雑」といった場合に限られます。

条件分岐の演算子には制限がある

ひとつ、設定していて引っかかった点があります。アクションの実行条件で数値フィールドに >< が使えません

APIから設定しようとすると、こう返ってきます。

金額フィールドのフィールドタイプには演算子<を使用できません。

実際に1本ずつ試した結果が次の表です。

書いた条件結果
金額 ≧ 100000使える
金額 ≦ 99999使える
金額 = 100000 / 金額 ≠ 100000使える
金額 > 99999使えない(演算子>を使用できません)
金額 < 100000使えない(演算子<を使用できません)
申請部署 = "営業部" / like "営業"使える
申請者 in ("ユーザー名")使える
申請日 ≧ TODAY()使える

つまり「10万円未満」は ≦ 99999 と書くことになります。1円単位でない金額を扱うアプリでは、境界の書き方に注意してください。日付には TODAY() が使えるので、「申請日が今日以降のものだけ承認できる」といった条件は組めます。


承認フローが詰まる5か所

ここからが本題です。運用で問題になるのは、フローを組めるかどうかではなく、組んだあとの回り方でした。

kintoneの承認フローが詰まる5か所。一覧からまとめて承認できない、代理承認ができない、段階ごとの入力チェックができない、承認後の編集制限は組めるが手間、承認依頼に気づかれない

① 一覧からまとめて承認できない

これが最も効きます。kintoneの一覧に並ぶステータスは、ただの文字です。ボタンではありません。

kintoneの稟議申請アプリのレコード一覧。件名・申請部署・金額・申請日・ステータス・作業者の列が並び、ステータス列は課長承認待ち・部長承認待ち・完了・下書きという文字が表示されているだけで、操作するボタンは無い

承認するには、レコードを開く → アクションを押す → 一覧に戻る。これを件数ぶん繰り返します。5件なら我慢できますが、月末に30件たまっていると往復が30回。ここで承認が滞留し、フロー全体が止まります。

② 代理承認ができない

承認者が出張・休暇のときに誰も進められない問題です。kintoneのアクションは作業者本人にしか出ません

同じレコードを2つのアカウントで開いて比べたのが次の2枚です。まず作業者本人(絆 太郎)の画面。

kintoneのレコード詳細画面。作業者本人が開いた状態で、画面左上に「承認して部長へ」「差し戻す」のアクションボタンが表示されている。ステータスは課長承認待ち、現在の作業者は絆 太郎

次に、同じレコードをアプリ管理者が開いた画面です。

同じkintoneレコードをアプリ管理者が開いた詳細画面。承認のアクションボタンは無く、「現在の作業者を変更」だけが表示されている

承認のボタンが消えて、「現在の作業者を変更」だけが残ります。アプリ管理者でも承認そのものは押せません。 APIから直接進めようとしても同じで、エラーになります。

ステータスを更新できません。このアクションは作業者のみ実行できます。

運用でよく採られる回避策は「現在の作業者を変更してから自分で承認する」ですが、履歴上は代理承認ではなく作業者の付け替えとして残ります。監査の観点で気になる場合は、この点を踏まえて設計してください。

この制約はプラグインでも越えられません。 一括更新のAPI(PUT /records/status.json)でも同じエラーで弾かれることを確認しました。つまり後述する一括承認プラグインで進められるのは、自分が作業者になっているレコードか、作業者を設定していないステータスからのアクションだけです。ここを誤解したまま導入すると「一括承認を入れたのに他人の分が進められない」となります。

③ 段階ごとの入力チェックができない

「承認に回すときだけ、見積書の添付を必須にしたい」という要望はほぼ必ず出ます。ところがkintoneの必須設定は常に必須です。下書きの段階でも埋まっていないと保存できません。

段階ごとに入力を促す仕組みは、標準にはありません。

④ 承認後の編集制限は組めるが、保守が要る

前述のとおりレコードのアクセス権で塞げます。ただし条件はレコードの値ベースなので、ステータスを追加するたびに設定を見直す必要があります。アプリが増えるほど、この保守が積み上がります。

⑤ 承認依頼に気づかれない

条件通知で承認依頼を飛ばせますが、届くのはkintoneを開く人だけです。通知メールの件名は [kintone][アプリ名]… の形が固定で、変えられるのは一部だけ。現場や兼務の承認者は、そもそも通知を見ていないことがあります。


解決アプローチは3つ

詰まる場所は5つでも、打ち手は3つに整理できます。

kintoneの承認フローを改善する3つのアプローチ。まとめて進める(一括承認)、手前で止める(実行時チェック)、後を固める(ロック・履歴)

①まとめて進めるが最も効果が大きく、選択肢も多い分野です。②と③は組み合わせて使います。


他社の主なプラグイン・サービス3つ

一括承認とワークフロー強化で名前が挙がる3製品です。価格・条件は変わることがあるため、導入前に各社の公式ページで最新情報をご確認ください。

① 一括承認プラグイン(rex0220)

  • 提供元:rex0220(個人開発)
  • 形態:買い切りプランとサブスクプランの2本立て。サブスクは10個パック 月16,000円/全種類使い放題 月20,000円(いずれも税別)。買い切りは製品ごとに5.5万〜27.5万円の価格帯
  • 特徴:一覧画面ごとに実行できるアクションを指定でき、最大20万件までの一括承認に対応。ステータス更新を並列処理で高速化し、日本語・英語・中国語の3言語、PC・スマホ両対応。代理承認(作業者以外でも実行できるアクションが対象)と、次の作業者の自動設定も持ちます
  • 注意点:公式に「作業者の指定が必須なアクションには対応していません」と明記されています。承認者を「次のユーザーから作業者を選択」で固定ユーザー指定している設計だと、ここに当たる可能性があります
  • 向いている人:件数が非常に多い・多言語環境・買い切りで持ちたい

② ATTAZoo+(新明和ソフトテクノロジ)

  • 提供元:新明和ソフトテクノロジ株式会社
  • 価格:エントリー 月額3,960円/年額47,520円(税込)から。スタンダード 月額7,920円、プロ 月額39,600円
  • 特徴19本のプラグインがセットになったパッケージ。承認まわりでは「ステータス更新+」(一覧で絞り込んだレコードのステータスを一括更新)と「作業者更新+」が該当します。自動採番・条件付き書式・タブ表示など他ジャンルも同じ料金で使えます
  • 向いている人:承認以外にもプラグインを複数入れたい・1本ずつ買うより月額でまとめたい

③ Smart at tools for kintone 申請パック(M-SOLUTIONS)

  • 提供元:M-SOLUTIONS株式会社
  • 価格:スターター 初期100,000円+年額90,000円(税抜・1ドメイン・50IDまで)。スタンダード 年額180,000円(100IDまで)。kintoneスタンダードコース契約が必須
  • 特徴:プラグインというより申請業務そのもののパッケージ。経費精算・休暇申請など17種類のテンプレートが付き、承認経路は複数パターンから視覚的に選ぶ方式。自分が関わっている全アプリ・全レコードの申請をステータス別に横断一覧できます
  • 向いている人:申請アプリをこれから作る・複数アプリの申請状況を1か所で見たい・テンプレートから始めたい

無料でそろえる場合【KIZUNA Works提供】

当社は承認フローの詰まりどころを、機能ごとに分けた基本無料のプラグインで埋めています。必要なところだけ足せるのが違いです。先に挙げた5つの詰まりどころとの対応はこうなります。

詰まりどころ使う製品価格
① 一覧からまとめて承認できないステータス一括実行基本無料
② 代理承認ができない(kintone側の制約。どの製品でも不可)
③ 段階ごとの入力チェックができない条件分岐フォーム基本無料
④ 承認後の編集制限の保守が要るレコードロック/クイック履歴ビュー基本無料
⑤ 承認依頼に気づかれないチャット通知プレミアム

まとめて進める:ステータス一括実行

ステータス一括実行 for kintoneは、標準のレコード一覧のツールバーにボタンを足し、複数レコードのステータスをまとめて進めます。

kintoneの稟議申請アプリの一覧。ツールバーに「ステータス一括実行」ボタンが追加され、右端に滞留日数の列が黄色・オレンジで色分け表示されている

右端の滞留列は、現在のステータスに何日とどまっているかを色で示すものです。「どれが放置されているか」が一覧で分かります。

ボタンを押すと、対象を現在のステータスごとにグループ分けして、グループごとに実行するアクションを選ぶ形になります。

ステータス一括実行のダイアログ。対象30件を下書き8件・承認済2件・課長承認待ち14件・部長承認待ち6件にグループ分けし、グループごとに実行するアクションを選ぶドロップダウンが並んでいる

このグループ分けが要るのは、進める先がステータスごとに違うからです。「承認済」のように実行できるアクションが無いグループは対象外と表示されます。次の作業者は遷移先の設定(次のユーザーから選択/全員/作成者/フィールド指定など)に応じて自動で決まるので、作業者の指定が必須なアクションでも進められます。

手前で止める:条件分岐フォーム

条件分岐フォーム for kintoneは、段階ごとの入力制御と、承認アクションの実行前チェックを担います。

条件分岐フォームの実行時チェック。プロセスアクションを押したときに条件を満たしていないと、不足している項目をその場のモーダルで入力させるダイアログが表示されている

③で挙げた「承認に回すときだけ必須にしたい」を解きます。条件を満たさないときは処理を止める・確認を出す・不足項目をその場で入力させる、のいずれかを選べます。条件を満たすまでアクションボタン自体を出さない出し分けも可能です。

後を固める:レコードロックとクイック履歴ビュー

④のアクセス権による制限を、より柔軟にしたい場合の選択肢です。レコードロック for kintoneはステータス・日付・フィールド値の複数条件(AND/OR)で自動ロックし、除外ユーザーだけ編集できるようにします。

承認の経緯を残すならクイック履歴ビュー for kintoneです。誰がいつ・どのフィールドを何から何に変えたかを、詳細画面に時系列で表示します。

クイック履歴ビューがkintoneレコード詳細画面に表示した変更履歴。日時・変更者・フィールド名・変更前の値・変更後の値が表形式で時系列に並んでいる

気づかせる:チャット通知

⑤の「通知に気づかれない」にはチャット通知 for kintoneを使います。ステータス変更をきっかけに、Slack・Microsoft Teams・Google Chatへ本文を組み立てて送れます。

チャット通知がSlackへ送った通知メッセージ。レコードの項目が差し込まれた本文と、レコードを開くリンクが表示されている

こちらはプレミアムプラグイン(年間サポーターに含む)です。ほかの4つは基本無料で使えます。


比較表

項目rex0220ATTAZoo+Smart at 申請パックKIZUNA Works
価格買い切り/サブスク 月16,000円〜(税別)月額3,960円〜(税込・19本セット)初期10万円+年額9万円〜(税抜)基本無料
一覧から一括承認✅(最大20万件)記載なし
他人の承認を代理で実行kintone側の制約で不可同左同左同左
作業者を設定しないアクション✅ 代理実行できる記載なし記載なし
作業者指定が必須のアクション❌ 非対応と明記記載なし記載なし✅ 自動判定
滞留の可視化記載なし記載なしステータス別の横断一覧✅(日数を色分け)
承認前の入力チェック別プラグイン入力条件+✅(パッケージ内)✅(条件分岐フォーム)
承認後のロック記載なし記載なし記載なし✅(レコードロック)
申請テンプレート✅ 17種類
提供形態単機能を選んで購入19本セット業務パッケージ単機能を選んで無料導入

「記載なし」は各社の公開情報に明記がなかった項目です。無い機能とは限らないので、必要な機能は個別にご確認ください。


どれを選べばいい?

  • まずは滞留を止めたい/費用をかけずに試したいステータス一括実行。一覧から一括で進められ、滞留日数も見えます
  • 承認者1人あたりの滞留が多い → 一括承認の効果が最も出るパターンです。逆に「多人数の承認待ちを事務局がまとめて処理したい」なら、一括承認では解決しません(作業者本人しか進められないため)
  • 承認者を固定ユーザーで指定している → 作業者指定が必須のアクションに対応しているかを必ず確認してください。rex0220は非対応と明記されています
  • 承認以外にもプラグインを何本も入れる予定 → ATTAZoo+のセット契約が割安になる可能性があります
  • 申請アプリをこれから作る/複数アプリの申請状況を横断で見たい → Smart at 申請パック。テンプレートから始められます
  • 件数が数万件規模/多言語環境 → rex0220の一括承認プラグイン
  • 入力チェック・ロック・履歴まで含めて整えたい → 当社の条件分岐フォームレコードロッククイック履歴ビューの組み合わせ

一括承認を入れる前に知っておくこと

最後に、製品を問わず共通する注意点が2つあります。

1つめは、進められるのは自分が作業者のレコードだけということ。②で確認したとおり、これはkintone側の制約なのでどの製品でも同じです。「承認待ちが30件たまっている」の中身が複数人ぶんなら、一括承認で片づくのは自分の分だけです。逆に言えば、承認者1人あたりの滞留が多い運用ほど効果が出ます。

2つめは、一括実行はサーバー側(REST API)でステータスを更新するため、詳細画面に仕込んだJavaScriptカスタマイズのチェックは走らないことです。

一括承認の注意点。一覧で一括実行するとREST APIでステータスが更新され、詳細画面のJSは動かないためチェックが素通りする流れ

当社のステータス一括実行も同じです。1件ずつの承認時にJSで検証している内容があるなら、一括実行では素通りします。当社製品では、この穴を埋めるために独自条件を満たさないレコードを事前に除外する設定を用意しています。他製品を使う場合は、同種の仕組みがあるかを確認してください。

kintone標準のまま1件ずつ承認する場合と、一括承認を入れた場合の対比。標準は開く・押す・戻るを件数ぶん繰り返すが、一括なら現在ステータスごとにアクションを選んで一度に進められる


まとめ

  • kintoneのプロセス管理は、多段階承認・条件分岐・差し戻しまでノーコードで組める。承認後の編集制限もレコードのアクセス権で塞げる
  • アクションの実行条件は数値に > < が使えない。「10万円未満」は ≦ 99999 と書く
  • 詰まるのは主に3つ。一覧からまとめて承認できない/代理承認ができない/段階ごとの入力チェックができない
  • 代理承認はアプリ管理者でも不可。「このアクションは作業者のみ実行できます」と明示的に弾かれ、一括更新APIでも同じ。プラグインでも越えられない
  • 打ち手は「まとめて進める」「手前で止める」「後を固める」の3つ。滞留対策としては一括承認の効果が最も大きい
  • 作業者の指定が必須なアクションに対応しているかは、一括承認プラグイン選びで最初に確認すべき点
  • 一括実行はREST経由なので、詳細画面のJSカスタマイズによるチェックは走らない

承認フローの設計や、どこから手を付けるべきかのご相談はお問い合わせからお気軽にどうぞ。関連記事としてkintoneプロセス管理の使い方ガイド、ほかの製品はkintoneプラグイン一覧からご覧いただけます。

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