【2026年版】kintoneの帳票を“今のフォーマットのまま”出力する方法
本記事は、kintoneの構築・カスタマイズ支援とプラグイン開発の実務経験を持つ筆者が、実際の帳票運用で得た知見をもとに整理しています。
この記事でわかることは、次の3点です。
- kintoneの標準印刷で「自社フォーマットの帳票」が作れない理由
- 今まで使ってきたExcel・PDFの帳票を作り直さずにkintoneから出力する考え方
- 背景PDF+ドラッグ配置で帳票化する具体的な手順と、無料で始める方法
「フォーマットは変えたくない、でもkintoneから出したい」という壁
kintone(キントーン)へ案件管理や受注管理を移したあとも、見積書や請求書だけは今までのExcelで作り続けている——。そんな運用は珍しくありません。
理由はシンプルで、長年使ってきた帳票のレイアウトを崩したくないからです。罫線の位置、項目の並び、会社印を押す場所まで、取引先や社内の承認フローに合わせて作り込まれています。これをゼロから組み直すのは現実的ではありません。
そのため、せっかくkintoneにデータがあるのに、帳票発行のときだけExcelへ手で転記する、という二度手間が残ります。転記ミスも起きますし、kintone側の最新の金額と帳票の数字がずれることもあります。
この記事では、その「フォーマットはそのまま、出力だけkintoneから」を実現する方法を整理します。
まず確認:kintone標準印刷の限界
kintoneにもレコードの印刷機能はあります。レコード詳細画面の「…」メニューから「レコードを印刷する」を選べば、その場で印刷用の画面が表示されます。
ただしこれは、ブラウザに表示されているレコード画面をそのまま紙に落とすだけの機能です。次のような場面では力不足になります。
- 自社ロゴ入りの見積書フォーマットで出したい
- 「御中」「下記の通りお見積り申し上げます」といった定型文を所定の位置に入れたい
- サブテーブル(明細行)を、決まった罫線の表の中にきれいに収めたい
- 角印(電子印鑑)を指定の位置に重ねたい
標準印刷はレイアウトを自由に組めないため、こうした「取引先に出せる体裁」には届きません。まず無料の範囲で帳票化を試したい方は、標準印刷やCSV・Excelを使った方法を整理したkintoneで帳票・PDFを出力する方法(標準・無料の手順)も参考になります。
帳票化には「作り直す」と「今のを活かす」の2つの道がある
kintoneで本格的に帳票を出すなら、専用のプラグインを使うのが一般的です。ただ、そのアプローチは大きく2通りに分かれます。
1つ目は、ツールの中で帳票デザインを一から組み直す方法です。 多くの帳票プラグインがこのタイプで、専用のデザイン画面に項目を並べてレイアウトを作ります。自由度は高い反面、既存のExcel帳票を見ながら同じ見た目を再現する手間がかかります。
2つ目が、今あるフォーマットを背景として丸ごと取り込む方法です。 完成済みのPDF(Excelから「PDFで保存」したものでも構いません)を下敷きにして、その上にkintoneの値を置いていきます。罫線も定型文もデザイン済みなので、置くのは「変わる部分」(金額・宛名・明細)だけで済みます。
「フォーマットを変えたくない」という冒頭の悩みに対しては、後者が圧倒的にラクです。KIZUNA Worksの帳票デザイナー for kintoneは、この「背景PDF方式」を採用したプラグインです。以下、これを例に手順を見ていきます。
手順:手持ちのPDFを背景にして帳票を出す
実際の流れは、設定さえ済めば4ステップです。難しいプログラミングは要りません。
STEP1:背景にするPDFを用意する
今使っている見積書・請求書のテンプレートを、PDF形式で書き出します。ExcelやWordで作っているなら「名前を付けて保存」や「エクスポート」からPDFを選ぶだけです。
ヒント:金額や宛名など「毎回変わる欄」は空白のままにしておきます。その空欄に、あとでkintoneの値を重ねます。
STEP2:PDFの上に項目をドラッグで配置する
プラグインのテンプレート編集画面で、用意したPDFを背景として読み込みます。あとは、その上にkintoneの項目を重ねていくだけです。

配置できる要素は主に4種類です。
- フィールド値:顧客名・金額・日付など、kintoneのレコードの値を差し込む
- 固定テキスト:「御中」など、常に同じ文言
- 画像:会社ロゴや角印(透過PNGなら背景が透明のまま重なる)
- サブテーブル明細:明細の1行ぶんを置くと、印刷時にデータの行数ぶん自動で繰り返される
位置はドラッグで動かせるほか、mm単位の数値でも微調整できます。背景の罫線に合わせてピタッと置けるので、出来上がりは元のフォーマットそのままです。
STEP3:明細とページの動きを整える
明細(サブテーブル)は、データの行数に応じて自動で増えます。1ページに入りきらないときは、自動改ページをオンにしておけば、同じ背景の次ページへそのまま続きます。
合計金額や角印は「最終ページのみ」に出す、といった出し分けも要素ごとに指定できます。複数枚にわたる明細でも、合計が途中のページに二重で出てしまう心配がありません。
STEP4:印刷する(1件・まとめて)
設定が終われば、あとはレコード画面から印刷するだけです。

レコード詳細画面では、帳票テンプレートを選んで1件ずつ印刷できます。印刷時には常に最新のレコード内容を読み込むので、編集直後でも数字がずれません。
一覧画面では、絞り込んだ結果を最大100件までまとめて連続印刷できます。月末にまとめて請求書を発行する、といった使い方に向いています。先頭に件数・合計を載せた集計表紙を付けることも可能です。
出力結果は、こんなイメージです。

レイアウト崩れを防ぐコツ
背景PDF方式は再現性が高い一方で、いくつか押さえておくと失敗しません。
- 背景PDFはA4・余白込みの完成版で用意する:印刷時の用紙サイズと背景がずれると位置が合いません。
- 角印・ロゴは透過PNGを使う:白背景のままだと、下の罫線や文字を隠してしまいます。
- 明細の1行ぶんを罫線にきっちり合わせる:1行の高さを表の罫線ピッチに合わせると、2行目以降もきれいに揃います。
- 金額などの右揃え:数字は右揃えにしておくと、桁が変わっても見た目が安定します。
どの方法を選ぶ?標準印刷・CSV・帳票プラグインの使い分け
「そもそもプラグインまで要るのか」を判断するために、代表的な3つの方法を整理しました。
| 方法 | 自社フォーマットの再現 | 費用の目安 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 標準印刷 | ほぼ不可(画面のまま) | 無料 | 社内の控え・メモ用途 |
| CSV/Excelへ書き出し | Excel側で自由(手作業) | 無料〜 | 表計算で再集計したい・少量 |
| 帳票プラグイン | 高い(フォーマットを再現) | 製品により幅あり | 取引先に出す見積書・請求書 |
社内で確認するだけなら標準印刷で十分です。データを表計算で加工したいならCSV出力などで書き出すのが早道。一方、取引先にそのまま渡せる体裁が必要なら、帳票プラグインが現実的な選択肢になります。
帳票プラグインは各社から出ており、Excel出力に対応するもの、買い切り型のものなど特徴はさまざまです。他社製品も含めて比較したい方は、kintone帳票出力プラグイン徹底比較で機能・コスト・電子帳簿保存法対応を整理しています。
無料で始められる
帳票デザイナー for kintoneには、無料の基本プランがあります。テンプレート1件・レコード詳細からの1件印刷であれば、利用期限なしでずっと無料です。ロゴや角印の配置、明細の自動改ページ、PDFの自動保存といった機能も基本プランで使えます。
複数テンプレートの登録や一覧からのまとめ印刷、集計表紙などの全機能は、プレミアム年間サポーターで解放されます。
| プラン | 使える範囲 | 料金 |
|---|---|---|
| 基本プラン | テンプレ1件・1件印刷・画像配置・自動改ページ・PDF自動保存 | 無料(期限なし) |
| プレミアム年間サポーター | テンプレ無制限・まとめ印刷・集計表紙・複数ページ ほか全機能 | ¥16,500/年(税込) |
プレミアム年間サポーターは、この帳票デザイナーだけでなく販売中の全プラグインが対象です。契約期間中に新しく公開されるプラグインも追加料金なしで使えます。まずは無料プランで、手持ちのPDFが思いどおりに帳票化できるか試してみてください。
まとめ
- kintoneの標準印刷は画面をそのまま出すだけで、自社フォーマットの帳票には向かない
- 帳票化には「ツール内で組み直す」方法と「今のフォーマットを背景に活かす」方法がある
- 背景PDF方式なら、完成済みのレイアウトの上に変わる値だけを置けばよく、作り直しが不要
- 明細の自動改ページ・集計表紙・PDF自動保存まで含めて、無料プランから試せる
帳票だけExcelに残ってしまっている運用は、転記の手間とミスの温床になりがちです。今のフォーマットを活かしたまま、kintoneのデータからそのまま出力する形に切り替えてみましょう。
kintoneの帳票運用でお困りではありませんか?
KIZUNA Worksでは、kintoneの構築・カスタマイズ支援や、帳票・業務効率化のためのプラグインを提供しています。帳票フォーマットの再現や運用設計のご相談も承っています。
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