kintoneでレコードをコピー(再利用)する方法 不要な項目だけ自動で空にするには
本記事は、kintoneの構築・カスタマイズやプラグイン開発の実務経験を持つ筆者が、レコードのコピー(再利用)運用でつまずきやすい点と、その解決方法を実務目線で整理したものです。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- kintone標準の「レコードを再利用する」でレコードをコピーする手順
- コピーされる項目・されない項目の違い(明細やルックアップを含む)
- 「全部コピーされてしまう」という標準機能の落とし穴と、消し忘れのリスク
- コピーする項目を選んで、それ以外を自動で空にする方法
先に結論をお伝えします。kintoneには似たレコードを素早く作れる「レコードを再利用する」という機能があり、テンプレート的な入力にとても便利です。ただしコピーできる項目はすべて転記されるため、取引先や日付など毎回入れ直したい項目まで前のレコードの内容が残ってしまいます。この「残ってしまう項目を毎回手で消す」手間は、設定で残す項目を選べるようにすれば解消できます。
kintoneの「レコードを再利用する」とは
「レコードを再利用する」は、既存のレコードをひな形にして、その内容をコピーした状態で新しいレコードの追加画面を開く標準機能です。ゼロから入力し直す必要がなく、似た内容のレコードを繰り返し登録する業務で威力を発揮します。
たとえば次のような場面です。
- 同じ取引先に、毎月ほぼ同じ内容の請求・発注レコードを作る
- 定型の作業報告や点検記録を、前回分をベースに少しだけ変えて登録する
- 商品構成が決まっている見積を、取引先だけ変えて量産する
新規作成をゼロから行うのに比べ、入力の大半を省けるのが利点です。
操作手順
操作はレコードの詳細画面から行います。
- コピー元にしたいレコードを開く
- 画面右上の操作メニュー(「編集」ボタン付近のオプション)から 「レコードを再利用する」 を選ぶ
- コピー元の値が入った状態で、新規レコードの追加画面が開く
- 変更したい箇所だけ直して保存する
保存すると、コピー元とは別の新しいレコードとして登録されます。コピー元のレコードはそのまま残るので、元データが書き換わる心配はありません。

レコード一覧の画面から複数レコードをまとめてコピーする、といった「一括コピー」は標準機能にはありません。再利用は1件ずつ、詳細画面から行う操作です。
コピーされる項目・されない項目
再利用で意外とつまずきやすいのが、「何がコピーされて、何がコピーされないのか」という点です。ここを把握しておくと、後述する手間の原因がはっきりします。
基本的には、手で入力する種類のフィールドはすべてコピーされます。一方、システムが自動で決める項目やファイルはコピーされません。
| 分類 | 代表的なフィールド | 再利用時 |
|---|---|---|
| 入力系 | 文字列・数値・日付・ドロップダウン・チェックボックス・ユーザー選択など | コピーされる |
| 明細 | サブテーブル(表形式の明細行) | 行ごとコピーされる |
| 参照 | ルックアップ | キーもコピー値もコピーされる |
| 自動 | レコード番号・作成者・作成日時・更新者・更新日時 | コピーされない |
| その他 | 計算フィールド・添付ファイル・関連レコード一覧・ステータス・カテゴリー | コピーされない |
用語を補足すると、サブテーブルは1レコードの中に明細行を複数持てる表形式のフィールド、ルックアップは他アプリの値を参照してコピーしてくる機能です(ルックアップの仕組みはこちらで詳しく解説しています)。どちらも再利用では中身がそのまま引き継がれます。
添付ファイルがコピーされない点は、覚えておくと便利です。前回の資料を使い回したい場合は、再利用後に改めて添付する必要があります。
標準の「レコードを再利用する」の落とし穴
便利な機能ですが、実際に使い込むと引っかかるのが「いらない項目まで全部コピーされてしまう」ことです。
再利用は、コピーできる項目を選り分けてはくれません。テンプレートとして残したい項目も、毎回入れ直したい項目も、区別なくまとめて転記されます。その結果、追加画面を開いた時点で前のレコードの内容がびっしり残っている、という状態になります。
案件管理を例に考えてみましょう。製品名・単価・確度といった「ひな形として使い回したい項目」はコピーされて助かります。ところが同時に、会社名・部署名・先方担当者・電話番号・メールアドレスといった「取引先ごとに必ず入れ直す項目」まで前の案件のまま残ります。活動履歴の明細も、前の取引先の履歴がそっくり入ってしまいます。
つまり新しい取引先の案件を作るたびに、こうした項目をひとつずつ手で消す作業が発生します。これには地味に手間がかかるだけでなく、もっと厄介な問題があります。

下の画像は、案件レコードを標準機能で再利用したときの追加画面です。会社名・部署名・先方担当者・電話・メール、案件担当者名、そして活動履歴の明細まで、前の案件の内容がそのまま入っています。新しい取引先の案件を作りたいだけなのに、色の付いた項目を毎回手で消さなければなりません。

消し忘れです。前の取引先の担当者名や連絡先が残ったまま保存してしまうと、別の顧客の情報が新しいレコードに紛れ込みます。件数が増えるほど気づきにくく、データの信頼性を損なう原因になります。
標準の範囲でできる工夫と、その限界
標準機能だけで完全に解決する方法は、残念ながらありません。運用でカバーするなら、次のような工夫が考えられます。
- コピーされて困る項目を、入力欄の上のほうにまとめて配置し、消し忘れに気づきやすくする
- 「再利用したら◯◯と△△を必ず消す」という手順をマニュアル化する
ただ、どちらも人の注意力に頼る対策です。担当者が増えたり忙しくなったりすれば、消し忘れは必ず起こります。JavaScriptによるカスタマイズで自動化する手もありますが、対象フィールドの管理や保守の手間を考えると、業務担当者だけで運用し続けるのは現実的とは言えません。
コピーする項目を選べるようにする方法
そこで役立つのが、「残す項目」を設定で選び、それ以外を再利用時に自動で空にするというアプローチです。私たちが開発した レコード再利用コントロール for kintone は、まさにこの一点に絞ったプラグインです。
仕組みはシンプルです。設定画面でチェックを付けた項目だけが再利用時に引き継がれ、チェックを外した項目は再利用画面を開いた瞬間に自動で空欄になります。手で消す作業がまるごと不要になります。

先ほどと同じ案件レコードを、プラグインを入れた状態で再利用したのが下の画像です。製品名・単価などひな形として使う項目は残り、会社名や連絡先、活動履歴の明細は空になっています。消す手間なく、そのまま新しい取引先の入力を始められます。

動作するのは「再利用のときだけ」
まず押さえておきたいのが、このプラグインが動くのは「レコードを再利用する」から開いた画面のときだけ、という点です。通常の新規作成(ゼロからの追加)には一切影響しません。「いつもの追加のときに勝手に消えたら困る」という心配は不要です。
通常フィールドは「残すものにチェック」
通常のフィールドは、チェックを付けたものが残り、外したものが空になります。初期状態はすべてオフなので、「これは引き継ぎたい」という項目にだけチェックを付けていく形です。「すべて残す」「すべてクリア」のボタンもあるので、大量の項目でも一気に設定できます。

先ほどの案件管理の例で言えば、こう設定します。
| 項目 | 設定 | 再利用したとき |
|---|---|---|
| 製品名・単価・ユーザー数・確度 | 残す | そのまま引き継ぎ |
| 会社名・部署名・先方担当者 | クリア | 自動で空欄 |
| 電話・FAX・メールアドレス | クリア | 自動で空欄 |
| 案件担当者名・見込み時期 | クリア | 自動で空欄 |
これで、ひな形にしたい項目は残しつつ、取引先ごとに入れ直す項目は空の状態で追加画面が開きます。あとは新しい取引先の情報を入力するだけです。
明細(サブテーブル)は行ごとにも列ごとにも制御できる
明細行を持つサブテーブルは、テーブル単位で「行を残すか」を選べます。前の取引先の活動履歴を持ち越したくなければ、行ごと空にできます。行は残したうえで一部の列だけ空にする、といった細かい指定にも対応します。
ルックアップも「取り直し」に対応
ルックアップは、他の項目と同じようにチェックを外せばクリアできます。「別の取引先マスタで参照し直したい」というときに、前の参照内容を引きずりません。
ひとつ注意点があります。クリアしたルックアップを空欄のまま保存することは、kintoneの仕様上できません。再利用画面で新しいキーを入力して[取得]し直してから保存してください。逆に「参照内容もそのまま使いたい」場合は、残す設定にすれば従来どおり引き継がれます。
こんな業務に向いています
レコードの再利用を日常的に使っている職場ほど、効果を実感しやすい機能です。
- 同じアプリで取引先や日付だけを変えて、繰り返しレコードを作っている
- 再利用のたびに、決まった項目を手で消すのが習慣になっている
- 前のレコードの連絡先や担当者名が残ったまま保存された経験がある
- 明細(表)の中身も、案件ごとに入れ直したい
逆に、再利用機能をほとんど使っていない、あるいはコピーされた内容をすべてそのまま使う運用であれば、標準機能のままで十分です。「毎回同じ項目を消している」という心当たりがある場合に、導入を検討する価値があります。
まとめ
kintoneの「レコードを再利用する」は、似たレコードを素早く作れる便利な標準機能です。ポイントを整理します。
- 再利用は、既存レコードをコピーした状態で追加画面を開く機能。1件ずつ詳細画面から操作する
- 入力系のフィールド・明細・ルックアップはコピーされ、レコード番号や添付ファイル、計算フィールドはコピーされない
- 便利な一方、残したい項目も入れ直したい項目も区別なく全部コピーされるため、手で消す手間と消し忘れのリスクがある
- 標準の範囲では運用の工夫しかできず、人の注意力に依存してしまう
- 「残す項目」を設定で選び、それ以外を自動で空にすれば、消す手間も消し忘れもなくせる
前のレコードの内容を毎回消している、あるいは消し忘れが不安という場合は、レコード再利用コントロール for kintone で運用を見直してみてください。設定画面で残す項目にチェックを付けるだけで、再利用のたびの手作業がなくなります。
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